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大学教授(教員)の離婚
当事務所に寄せられる離婚・不貞(不倫・浮気)の慰謝料請求に関するご相談の中でも、大学教授(教員)の方が依頼者・相手方の場合、問題が複雑化するケースが多いです。
たとえば、夫側の大学教員が、学内で不貞関係を持ってしまっているようなご相談もあり、そのような夫に対し、「きちんと慰謝料は支払ってほしいが、夫が、学内で立場を無くしてしまうことを希望するものではないため、不貞相手である学生への請求は慎重に考えたい」との相談もありました。
また、大学教授の場合、少子化の影響で大学経営が悪化していることから、大学教授の年収は減少傾向にありますが、平均年収は約1000万円以上というデータがあり、まだまだ高水準にあります。また、地位も安定しています。
そして、著書の出版等で副収入を得ることも可能であるなど、財産分与や慰謝料の話し合いが複雑化するケースも多いです。
大学教授と離婚する場合には、年収が高額な分、養育費や財産分与を多く請求出来ることが多いので、これらを決定する際には、損をしないように適切に財産分与対象の財産と特定したり、金額を計算したりする必要があります。
(1)財産分与について
一般的に、離婚の際の財産分与は、2分の1ずつとされています。しかし、以下のような場合には、財産分与の割合が修正される可能性があります。
- 財産形成の要因が、分与義務者の特殊な能力や努力である
- 形成された財産が非常に多額である
- 配偶者の財産形成への貢献度が低い
一方が大学教授の場合は、研究成果の知的財産など、一方(大学教授)の特殊な能力や努力により財産が形成されたケースに当てはまることもあります。
また、大学教授の場合、国公立の大学の定年後に私立大学に勤めることもありますが、一般に、勤務する大学を変わるごとに退職金を得ることが多いです(ただし、同じ大学に一定期間勤務することを退職金支給の要件としていることが多いようです)。
なお、勤務する大学を変わるにしても国立大学に勤務し続けている場合や、一つの大学に長く勤務している場合、退職金は高額になる傾向にあります。
将来の退職金が財産分与の対象となるかも問題となりますが、近い将来に退職金が受け採れる可能性が高い場合には、退職金が財産分与の対象となります。
国家公務員の離婚事案で、夫が勤続年数27年で、9年後に定年退職するというケースで、夫に対して「国家公務員退職手当法に基づく退職手当の支給を受けたとき、550万円を支払え」と命じた裁判例があります(名古屋高裁平成12年12月20日判決)。
国公立の独立行政法人等の場合には、通常退職金の規程が明確であり、退職金が支給される可能性が高いですが、私立の場合には、退職金規程がない大学がある可能性もあります。
退職金制度は法律によって定められているわけではないので、当該大学に退職金規程がないと支払われないこともあります。
離婚前には、夫(妻)の勤務先の大学で、退職金支給が行われているものかどうか、きちんと調べておく必要があります。
(2)養育費について
そのほか、養育費について、教授のご家庭では、自分の子供も大学院まで出させて研究者にさせようとか、良い教育を受けさせるために私立の学校に通わせたり高い教育資金をかけたりする傾向があります。
子供の養育にかかる費用の考慮要素には、親の生活レベルや家庭環境に見合った教育を受けるという側面もありますから、やはり、一般の家庭よりは高額の養育費が認定されやすいでしょう。
(3)さいごに
このように、夫婦の一方または双方が大学教授である場合、離婚にあたって考えなければならない特有の問題があります。
なお、国公立大学の教授の場合は、みなし公務員ということで、公務員の離婚問題の記事が参考になりますから、ぜひご覧ください。
知らずに不利な条件で離婚することがないように、ぜひ離婚問題を専門とする当事務所にご相談ください。