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定年退職を機に離婚を進めるべきか財産分与は慎重に
定年退職を機に毎日の生活は大きく変わります。
これまでは平日は毎日仕事に行っていたのが、定年後は毎日家にいることになり、これまでは毎月給料をもらい生活をしていたのが、貯金や退職金を切り崩したり、年金で生計を立てたりしなければならなくなります。
このような生活状況の変化から、離婚を考える方も多くいます。定年を機に離婚を考える理由として特に多いのは、定年後に夫婦で毎日一緒に生活をすることが耐えられないというものです。
例えば、結婚生活も長くなりお互いに愛情を感じられなくなった、結婚生活の中でお互いに性格が合わない部分が出てきたなど、これまでは仕事で家にいない時間が長かったからどうにか耐えられていた不満が、毎日一緒に生活をするとなると耐えられなくなり、離婚を考えるきっかけになります。
また、定年を迎えるころには、子どもも大きくなり、社会人として独立していることも多いでしょう。これまでは子どもがいることで離婚を思いとどまっていた夫婦も、子どもが独立し、あとは夫婦の関係だけを考える状況になると、離婚が現実的な選択肢になってきます。
このように、定年退職はその人の人生にとって大きな節目になると同時に、夫婦にとっても大きな分岐点となりえるものです。
定年離婚を考えるときに特に気を付けるべきこと
定年を機に離婚するとなると、子どもの年齢の関係で、親権や養育費といった子どもをめぐる問題はそこまで大きくならないかもしれません。
一方で、若いころの離婚と一般的に大きく異なるのが、財産関係です。長年にわたり結婚生活を続けてきたことで、夫婦で築いてきた財産が思いのほか多くなっていることがあります。離婚する際には、財産分与として、夫婦で築いてきた財産を半分に分けるのが通常です。
もちろん、夫婦間で納得していれば、半分以上の財産分与をすることも当然可能です。老後の資産も考えなければならない以上、財産分与は慎重に進める必要があります。
財産としてすぐに思い当たるものは預貯金や不動産などでしょうが、保険や株式、さらには退職金なども夫婦の財産として財産分与の対象になりえます。また、夫婦間で、お互いに相手に知られていない財産もあるかもしれません。お互いの個人の銀行口座にいくら残高があるのか分からないこともあるでしょう。反対に、ちゃんと整理をしてみたら、思っていたよりも財産が少ないということもあるかもしれません。
婚姻期間が長ければ長いほど、財産分与の対象として整理しなければならない財産が種類・金額ともに多くなります。定年を機に離婚する夫婦は、財産分与で揉めるケースが非常に多いのです。
そもそも離婚に応じてくれない可能性もある
定年を機に突然離婚を切り出しても、配偶者からすると全くの想定外の出来事で、離婚には応じられないと言われることも多いでしょう。定年前から、少しずつ話を進めていたり、あるいは、お互いに何となく気が付いていたりするというパターンもあるのですが、一般的には相手からすると突然の出来事になります。
相手が簡単に離婚に応じてくれない場合、一方的に離婚することは難しく、離婚のための話し合いを続けなければなりません。いくら話し合いをしても離婚に応じてくれない場合、最終的には裁判をして裁判官に離婚を認めてもらうことになります。
裁判で離婚を認められるためには、法律に定められている離婚事由にあてはまる事情(例えば不貞行為など)が必要になります。定年を迎えたことは、法律には離婚事由として定められていません。そのため、単に定年を迎えたというだけの事情を主張しても、なかなか裁判官は離婚を認めないと考えられます。
そこで、定年を迎えたことに加えて、裁判官が納得して離婚を認めるための様々な事情も一緒に主張していくことになります。例えば、定年を迎えた後の夫婦の生活状況から、法律に定められている離婚事由の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」(民法770条1項5号)にあたる事情があるといった主張をすることが考えられます。この場合、最終的に裁判官が「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と認めれば、裁判で離婚が認められることになります。
定年離婚を考えたら早めに弁護士にご相談ください
先ほど述べたように、定年離婚をする夫婦は、財産分与で揉めるケースが非常に多いです。早めに弁護士にご相談いただくことで、不利な財産分与を避けるために事前に何を準備すべきか、具体的な方策をアドバイスすることができます。早めにご相談いただけると、それだけ事前準備の選択肢が増え、自分のペースで離婚や財産分与を進められます。財産状況は夫婦それぞれですので、弁護士が個別のケースごとに一つ一つ判断し、最良の方向で進められるようにアドバイスいたします。
定年離婚を考え始めたばかりだと、まだ弁護士に依頼する段階ではないと考える方もおられるかもしれません。そういったときには、弁護士が表に出て話をするのではなく、夫婦間での話し合いを裏方としてアドバイスすることもできます。定年離婚を考えるようになったら、離婚をスムーズに進めるためにも、早めに弁護士にご相談ください。