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「仕事するな」という夫はモラハラになるのか?自らの都合で相手を支配しようとする言動はモラハラ
モラハラという言葉が世間に浸透してからかなり期間が経過しました。実際に、モラハラを離婚原因とする相談が持ち込まれることは非常に多いです。
なかでも、夫から「仕事をするな」と言われたというお話をよく聞きます。夫のこのような発言は、モラハラにあたり、離婚できるのでしょうか?
そもそもモラハラとは
モラハラとは、心無い言動などにより、相手を自らの支配下に置き、傷つけることを言います。例えば、夫から「誰のおかげで生活できているんだ!」と言われたとか、夫が大声で怒鳴るといったことが典型例として挙げられるでしょう。
関連リンク モラルハラスメント(モラハラ)
モラハラを理由に離婚できる?
夫婦間で離婚の合意がないけれど、モラハラを理由に離婚したい場合には、モラハラによって、客観的にみて夫婦関係が破綻しており回復の見込みがない、といえなければなりません。つまり、第三者からみても、夫があなたにモラハラをしていることと、夫婦関係を継続していくことが無理であろうということが分かる状態でなければいけないのです。
モラハラは、身体的DVと異なり、第三者からみて明らかな傷を残さないことから、第三者にモラハラの事実をわかってもらうことは困難です。そのため、普段から、夫のモラハラ発言をメモに残す、音声を録音するなどして、あなたが夫のモラハラによって深く傷つけられていることを、第三者に分かってもらう資料を収集しておくことが重要です。
「仕事をするな」はモラハラにあたる?
そもそも、どうして妻に「仕事をするな」という夫がいるのでしょうか。妻が働ける状況にあるのでれば、妻も収入を得ることにより世帯収入が増えるので、共働きの方が良いというのが通常の感覚と思われます。しかし、妻に仕事をさせないことで、自分が経済的に優位に立とうとする方もいらっしゃいます。自らの都合で、相手を支配しようとする言動は、モラハラに該当するものと考えられます。
実際に、内閣府男女共同参画室ホームページでも、精神的なDV(モラハラ)の具体例として、外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせたりすることが挙げられています。
関連リンク 内閣府男女共同参画室ホームページ
「仕事をするな」と言われたら
前述したとおり、「仕事をするな」という発言は、モラハラに該当すると思われます。しかし、モラハラにあたるとしても、夫の「仕事をするな」という発言が、第三者からみて夫婦関係を破綻させ修復困難であるといえなければなりません。通常のモラハラと同様に、夫のモラハラ発言をメモに残す、音声を録音するなどして、証拠を収集しておくことが肝要です。
「仕事をするな」という発言が1回だけあったという場合には、第三者からみて、夫婦関係が破綻しており修復困難とはいえないかもしれません。ただ、妻を経済的に支配下に置こうとする夫は、他にも妻を傷つけるような言動をしていると思われますから、すぐに諦めることなく、弁護士に相談していただけたらと思います。
逆に、「仕事をするな」という発言が複数回、継続して繰り返されていた場合は、1回だけの発言に過ぎない場合と比べて、夫婦関係が破綻しているといいやすいと思います。ただ、モラハラ夫との離婚交渉は、心身共に疲弊してしまいますから、弁護士に相談することをお勧めします。
「仕事をするな」と言われたことはモラハラには当たりますが、モラハラにあたるからと言って、必ずしも離婚できるとは限りません。できるだけあなたにとって有利な離婚条件で離婚するためにも、一度、弁護士にお話しをしてみてください。