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熟年離婚のきっかけとは?メリット・デメリットや準備にあたってのポイントについて解説

弁護士中原 俊明
<監修者> 弁護士 中原俊明
離婚した場合の親権や経済面はもちろん、離婚した場合とそうしなかった場合の精神的な部分まで、弁護士が聞き手となって、過去の事例や経験をもとに、現在の心境や状況を引き出してアドバイスさせていただきます。

近年では、「夫婦は添い遂げるもの」というイメージは崩れ、長年連れ添った夫婦が離婚することも珍しくありません。ここでは、このような熟年離婚のきっかけ、メリット・デメリット、熟年離婚をするにあたって行なっておくべき準備のポイントについて解説します。

熟年離婚とは?

熟年離婚とは、はっきりとした定義があるわけではありませんが、一般的には、長年結婚生活を続けた夫婦が離婚することを指します。20年以上結婚生活を続けた50歳以上の夫婦が離婚するケースが典型例といえるでしょう。

厚生労働省による統計(令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況)では、「同居期間20年以上の夫婦の離婚件数」は、平成17(2005)年に40,395組にまで増えてからは微増微減しつつもほぼ横ばいであり、令和3(2021)年は38,968組となっています。

また、同居期間別にみると、令和3年に最も離婚する夫婦が多いのは「同居期間が5年未満の層」ですが、2番目に多いのが「同居期間が20年以上の層」です。「同居期間が15〜20年未満の層」に比べて約2倍の多さであることをみても、熟年離婚の件数が多いことがわかります。

熟年離婚のきっかけ

熟年離婚のきっかけとしては、配偶者による不倫や暴力など一般的な離婚原因に加えて、以下のような熟年夫婦特有のものがあります。

夫が定年退職後、家にいる時間が増加したこと

夫が仕事を定年退職し、それまでは平日の夜と休日しか家にいなかった夫が家にいる時間が増加したことによって、「細かい生活習慣の違いが気に入らない」「夫が家事を一切しないことが不満」「妻が文句ばかり言ってくることが不満」といった夫婦間の摩擦がきっかけとなり得ます。

子供が自立し、子供のために離婚を我慢する必要がなくなったこと

どれだけ配偶者に対して不満があっても、子供が幼いうちは、子供に迷惑をかけたくないと考えて離婚に踏み切れない夫婦は多いです。これに対し、熟年離婚の場合は、子供は既に自立していることが多いため、この点の配慮は不要となります。それどころか、相手に問題がある場合には、子供から離婚を勧められるケースも多くあります。

どちらかが亡くなった場面を想定し始めること

人は、必ずいつかは死ぬもので、ある程度の年齢になると、終活やお墓のことを考えます。そういった時に、「夫婦のまま死にたくない」「一緒の墓に入りたくない」などと思ったことがきっかけで、離婚を考えるようになったというケースも珍しくありません。

これらに共通するのは、「変化」です。生活スタイル、環境、考え方など様々ですが、何らかの変化が転機となって、熟年離婚を決意することが多いといえます。

熟年離婚のメリット・デメリット

メリット

熟年離婚の最大のメリットは、配偶者との苦しい生活から解放され、人生を自分の好きに生きることができるという点です。相手本人だけでなく義理の親や親戚などと折り合いが悪い場合には、それからも解放されることになります。配偶者に対する不満が大きければ大きいほど、このメリットは大きくなるでしょう。

デメリット

(1) 経済的不安

それまで配偶者の収入に頼って生活してきた場合、離婚後は配偶者を頼ることはできないので、経済的に苦しくなることが考えられます。財産分与や年金分割をしたとしても、十分な金額が得られるとは限りません。また、年齢的に、病気をした場合や介護が必要になった場合の費用が発生することは当然見込まなければなりません。

逆に、財産分与や年金分割の義務者(金額が減る側です。)の場合は、自分の財産や年金が減ってしまうという抵抗感が強い方が多いです。

(2) 孤独感

離婚することで、友人や子・孫と会う時間が増えると考えていたものの、友人や子供たちにも家庭や仕事があるなどの理由で思い通りにいかず、孤独感を感じることがあります。もともと1人でいることが好きという性格の人でなければ、毎日家に1人でいることが辛いと感じてしまうかもしれません。

(3) 生活面での不安

それまで家事を配偶者任せにしてきた場合、離婚後に不慣れな家事を自分1人でやるのは大変です。

熟年離婚の方法

離婚には、主に協議離婚、調停離婚、裁判離婚という3つの方法があります。

協議離婚とは、夫婦間の話し合いで離婚を成立させる方法です。離婚をするには、双方の合意が必要です。一方が離婚に同意しないと離婚は成立しません相手が離婚したくない場合、話し合いができなかったり、無理難題を出されて話し合いが進まなくなったりすることがあります。

協議離婚ができない場合は、裁判所の手続きを利用するという方法があります。具体的には、調停と裁判があります。原則として、いきなり離婚訴訟を起こすことはできませんので、先に調停をする必要があります。調停で離婚の合意に至らなかった場合は、離婚訴訟を起こすことになります。

以下のページも併せてご覧ください。

関連リンク
離婚方法と流れ
協議離婚とは?
調停離婚とは?
裁判離婚(離婚訴訟)とは?

熟年離婚を準備するにあたってのポイント

熟年離婚の場合、子供は自立していることが多いため、親権や養育費が問題になることはさほどありません。そのため、熟年離婚の準備として非常に重要なのは、財産分与と年金分割です。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産を分け合うことです。夫が働き、妻が専業主婦であった場合でも、夫が得た給料は妻と協力して形成されたものとされます。

財産分与の対象となる財産は、預貯金、株式、不動産、退職金などですが、いずれも婚姻期間中に形成されたものに限られます。 熟年離婚をする準備として、別居をする前に、相手がどのような財産を持っているか把握し、可能であれば財産状況を示す資料(通帳のコピー、退職金支給額が分かる書面のコピーなど)を入手しておきましょう。別居した後は、これらの資料を入手することが難しくなります。

以下のページも併せてご覧ください。

関連リンク 財産分与

年金分割

年金分割とは、婚姻中に納めた厚生年金保険料を夫婦共同で納めたものとみなし、離婚した場合には、婚姻期間に相当する分の老齢厚生年金を夫婦で分割するという制度です。特に専業主婦だった妻にとっては、年金分割を行なうことでもらえる年金の額が増加するため、熟年離婚をするにあたって極めて重要な手続きといえます。

ただし、誤解されがちですが、夫がもらえる年金の2分の1を妻がもらえるという制度ではありません。妻がもらえる年金がどの程度増えるかは年金事務所に確認する必要があります。

以下のページも併せてご覧ください。

関連リンク 年金分割

熟年離婚は一見すると解放感がありますが、デメリットも多いのは上記のとおりです。これを踏まえて、熟年離婚をするための準備はしっかりしておきましょう。 準備の内容は夫と妻で異なる場合があるため、以下のリンクも併せてご確認ください。

関連リンク
50代・60代男性の離婚について
50代・60代女性の離婚について

熟年離婚の悩みは弁護士へ

これからの自分の人生を考えて、長年続けた結婚生活に終止符を打とうと考える方は、少なくありません。しかし、相手に離婚を切り出しても応じてもらえず、これまでずっと同居をしていて、民法に定められている離婚事由もない場合は、将来的な裁判離婚の可能性を踏まえて別居を検討する必要があります。

また、離婚の合意を得られたとしても、財産分与についても考えなければなりません。こうした離婚までの道のりをお一人で進めることはご自身にとってかなりの負担になります。離婚問題は、ご自身の人生の大きなターニングポイントです。離婚を考えるのであれば、遠慮なく弁護士にご相談下さい。これまでの経験をもとに、あなたにとって最良の方法を考えます。

熟年離婚のきっかけとは? まとめ

  • 熟年離婚のきっかけにはどんなものがある?
    夫が定年退職後、家にいる時間が増加したこと、子供が自立し、子供のために離婚を我慢する必要がなくなったこと、どちらかが亡くなった場面を想定し始めること等があります。
  • 熟年離婚のデメリットは?
    経済的不安や孤独感、生活面での不安などが挙げられます。
  • 熟年離婚を準備するにあたっての重要なポイントは?
    熟年離婚の場合、子供は自立していることが多いため、親権や養育費が問題になることはさほどありません。そのため、熟年離婚の準備として非常に重要なのは、財産分与と年金分割です。
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