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退職金退職金も財産分与の対象になりえます
退職金がすでに支払われている場合
離婚時に、すでに支払われている退職金は、婚姻期間に対応する部分については、財産分与の対象となります。配偶者の寄与は、同居期間に按分した額を対象額として、原則2分の1の寄与が認められることが多いです。
すなわち、配偶者が婚姻前から就労している場合には、婚姻期間に相応する額としたり、離婚までに別居期間がある場合には同居期間に相応する額としたりしています。
将来支払われる退職金がある場合
他方、離婚時にはまだ退職しておらず、将来支払われる可能性がある退職金については、 事故、病気、懲戒解雇、勤務先の倒産、経営不振による減額など不確定要素があり、その受給が確実ではないため、財産分与の対象となるかが問題となります。
この点について、退職金は賃金の後払的性格があること、勤労世帯にとっては年金と同様、老後の生活保障として重要であることなどから、その支給を受ける見込みがある場合には、財産分与の対象とされています。
問題となるのは、何年先の退職であり、どういった勤務先であれば支給の蓋然性が高いと認められうるか、清算対象とする場合の具体的な計算方法、支払時期等について、法律上明確な基準があるわけではありません。
退職金分与の方法
分与の方法としては、
- 将来の退職金を財産分与の考慮事情の一つとする方法
- 別居時又は離婚時に退職したと仮定した場合の退職金額を、配偶者との同居期間に按分した額に修正し、それを折半する方法
- 将来の退職金支給時を支払時期とする方法
などがあり、このうち(2)の方法がとられることが多いようです。なお、(2)に関し、数年後に退職し、その時点での退職金の額が判明している場合には、その額を現在の価値に引き直して(中間利息の控除)計算した額をもって財産分与の対象財産とすることもあります。
退職金をめぐって発生する問題の具体的な事例
退職金の取り分
夫の退職金は、財産分与の対象になりますか?
離婚した場合、夫は退職金をかなりもらえるはずです。私たちには子供が3人いて、全員私立高校に行かせたため、財産らしい財産は無く、夫の財産と言えばこの退職金くらいです。退職金は財産分与の対象になりますか。もらえるとしたらどれくらいもらえますか?
勤続年数と結婚していた年数に応じて分けることになります。
退職金は財産分与の対象になります。例えば、夫が勤続40年で退職し、そのうち夫婦でいた期間が30年だとすると、退職金の4分の3の半分、つまり退職金の8分の3(37.5%)があなたの取り分になります。
退職前の退職金分与
退職まであと数年。今すぐ離婚したいけど、退職金は分与してもらえますか?
退職まであと数年ですが、もう我慢の限界です。今すぐ離婚したいのですが、退職金の分与を受けられますか?
個別のケースにより異なりますが、別居時に自己都合退職したと仮定して財産分与された判決があります。
「あと数年で夫が定年だけれど、それまで待てない」というケースでは、定年までの年数などが問題になります。個別のケースによって裁判官の判断が分かれますが、別居から定年退職まで約6年というケースでは、「定年」退職の金額ではなく、別居時に「自己都合」で退職したと仮定した場合に支給される退職金額を基準とすべきという判断がされました。
ただし、夫からすれば「まだもらっていないから払えない」わけですから、退職した時に支払うことになりました(広島高判 平19.4.17)。
- 1954年 東京都出身
- 1978年 中央大学法学部卒業
- 1987年 弁護士登録(登録番号:20255)
- 2008年 法律事務所ホームワン開所
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