離婚の基本情報

裁判離婚(離婚訴訟)とは?

弁護士笹森 麻美
<監修者> 弁護士 笹森 麻美
依頼者を笑顔に導く。それが、離婚に限らず、あらゆる事件解決における私の弁護士としての目標です。

調停で合意できなければいよいよ裁判となります。離婚訴訟は、書面が中心です。調停はあくまで当事者が合意にいたるための手続きですので、合意がまとまらなければ家庭裁判所に離婚訴訟を提起することになります。

裁判(訴え)の提起

離婚訴訟は、当事者のいずれかの住所地の家庭裁判所に提起すれば足ります。調停は相手方の住所地の家庭裁判所に申し立てるものとされていますが、訴訟は自身の住所地の裁判所に提起して構いません。ですから、夫婦で住所が違い、相手方の住所が遠方である場合、こちらが先に訴訟を起こした方がいいでしょう。

離婚訴訟が認められるには5つの原因のうち1つが必要

ただし、離婚訴訟をするには、次のどれかに該当する事実がなければなりません。

  • 相手の不貞行為(第三者との性行為)があったとき。
  • 相手から悪意で遺棄されたとき(正当な理由もなく同居・協力・扶助の義務を怠ること)。
  • 相手の生死が3年以上明らかでないとき。
  • 相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

DV、家庭を破綻させるようなギャンブル・飲酒・借金・セックスレスは、この(5)の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。性格の不一致は、それだけでは離婚理由に当たりません。性格が同じ人間はおらず、夫婦である以上、互いの人格を尊重し、協調して生活する義務があるからです。

ただ、性格の不一致の結果、別居に至ったような場合、その別居がどちらの責任ともいえなくても、別居が長期にわたり、今後夫婦関係の修復が見込めないと判断されるようなときは、離婚が認められます。

訴訟は書面が中心

訴状では、結婚に至る経緯、結婚後の家族状況・生活状況、上記の5つの離婚原因事実のいずれかが存在すること、財産分与の請求、親権の要求、養育費の請求を、要領よく、的確に主張しなければなりません。しかも、今後の立証活動を踏まえ、余計なことは言わず、必要なことだけを言う工夫も必要です。

訴状においては、証拠に裏付けられた訴求力のある主張を、一貫したストーリーの中で述べることが重要です。「あれもこれも」と書くと、こちらが一番に指摘したい点がぼやけてしまうことがあります。そのため、どの主張を正面に押し出していくかもよく検討する必要があります。相手方は、訴状に対し、答弁書という、認否・反論書面を出してきます。その後は互いに準備書面という書面をぶつけあって、相手の主張を攻撃し、自らの主張を補強していきます。訴訟は、テレビで見るような弁論の場ではなく、書面による主張のぶつけあいが中心です。

証拠の重要性

こちらの主張を裏付けるための証拠が必要になりますが、どの証拠が重要で、どれが不要であるかをよく検討する必要があります。一見、当方に有利な証拠のように見えて、相手の主張の手助けになってしまう、ということもあります。

何を主張し、どんな証拠を出すかは弁護士にお任せください。離婚原因となる事実、財産分与の請求、親権の要求、養育費の請求等を、証拠に基づいて、書面で主張していきます。

弁護士に依頼するメリット

裁判離婚をめぐって発生する問題の具体的な事例

最初から裁判できますか。私は離婚したいのですが、相手が離婚に応じるとは到底思えません。最初から裁判をしようと思うのですが。

まず、調停を申し立てる必要があります。法律上「調停前置主義」と言って、相手方が行方不明であるなどといった理由がない限り、裁判の前に調停を申し立てる必要があります。調停の成立の見込みがなくて取り下げたり、不調になったりして初めて、訴訟を起こすことができます。

裁判離婚とは? まとめ

  • 調停で合意できなければ、どうなりますか?
    調停で合意できなければ、裁判となります。
  • 離婚訴訟が認められる原因とは何ですか?
    離婚訴訟が認められるには5つの原因のうち1つが必要です。
    (1)相手の不貞行為(第三者との性行為)があったとき。
    (2)相手から悪意で遺棄されたとき(正当な理由もなく同居・協力・扶助の義務を怠ること)。
    (3)相手の生死が3年以上明らかでないとき。
    (4)相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
    (5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
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