離婚時に確認すること-公的な手続き・支援-

離婚成立後の公的な手続き

離婚が成立した後に必要な手続きについてまとめました。期限が定められているものもありますので、注意しましょう。

戸籍・住所に関する手続

離婚届

離婚には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚などの方法がありますが、いずれも「届出」が必要です。

離婚届の受付窓口は、原則として夫婦の本籍地または住所地の市区町村役所の戸籍係です。協議離婚以外の場合は、離婚の効力発生の日から10日以内に届出するよう義務づけられています。調停調書等を受け取った日からではありませんので、注意してください。

協議離婚の場合の離婚届には、成人の証人2名の署名押印が必要です。届出人、つまり夫と妻の署名押印も本人が行い、別々の印鑑を使用します。それ以外の場合は、証人は不要ですし、相手方の署名押印も必要ありません。他方、協議離婚の場合、離婚届・届出人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)の提出のみで足りますが、その他の離婚については、それぞれ、以下のような添付書類が必要となります。

調停離婚

  • 離婚届
  • 調停調書の謄本
  • 申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)

調停離婚について

裁判離婚

  • 離婚届
  • 判決書の謄本・確定証明書
  • 原告の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)

裁判離婚について

子の氏の変更許可の申立て・入籍届(戸籍の変更)

両親が離婚をして、一方が戸籍を抜けても、父母のどちらかが親権者になったとしても、子どもの戸籍は変わりません。

そのため、あらかじめ子の戸籍の内容を変更する手続を行っておかなくてはなりません。離婚をして、子を引き取った親とその子の姓や戸籍が異なってしまった場合に行ないます。子が15歳未満の場合は、親権者が手続を行いますが、15歳以上の場合は子自ら行います

戸籍変更の受付窓口は市区町村役所の戸籍係になります。「戸籍」に関する手続については、さらにこちらをご参照ください。

住民票の異動等

違う市区町村に転居する場合は、転出する市区町村役所に転出届を提出するとともに、転入する市区町村役所に転入届を提出する必要があります。また、世帯主が変わる場合は、世帯主変更届を出すことも必要です。

変更後の住民票は、児童扶養手当、一人親家庭の医療費助成、運転免許証の変更、子供の転入学に必要です。

名字をそのまま使う場合の届出

婚氏続称(婚姻中の姓のままに)する場合、離婚の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」が必要になります。提出先は、届出人の住所地又は本籍地の市区町村役所です。

3か月を経過してしまった場合は、家庭裁判所の許可が必要になり、この場合、必ずしも認められるとは限りません。

年金・社会保険に関する手続

国民年金・厚生年金の変更手続

国民年金の被保険者の種別としては、第1号被保険者(農林漁業、自営業、自由業者と、その配偶者、家族、学生など。)、第2号被保険者(会社員、公務員など、同時に厚生年金の被保険者でもあります。)、第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者。専業主婦やパート勤務などで夫の被扶養者となっている場合。自分で保険料を支払う必要がありません。)があります。

第3号被保険者だった場合、離婚後、就職して厚生年金の被保険者になる人以外は、第1号被保険者への種別変更手続きが必要になり、また、毎月、国民年金保険料を支払わなければなりません。この種別変更の届出は、離婚成立から14日以内に、市区町村役所の年金窓口で行います。届出をしないと、本来第1号被保険者として支払わなければならない保険料が未納となり、将来受け取れる年金額に影響が出てしまいます。

健康保険の加入手続

別れた夫がサラリーマンで勤務先の健康保険に加入し、妻子も被扶養者として同じ健康保険に加入していた場合、妻は離婚とともに夫の健康保険から抜けることになります。離婚後すぐに就職し、就職先の健康保険に加入できる人以外は、国民健康保険の加入手続きを取らなければなりません。具体的には、元夫に、勤務先の会社で資格喪失証明書を取得してもらい、その資格喪失証明書を持って市区町村役所に行き、国民健康保険の加入手続きを行うことになります。

他方、別れた夫が自営業などで、夫を世帯主、妻を世帯員とする国民健康保険に加入していた場合には、離婚時に、夫が国民健康保険被保険者資格喪失届を市区町村役所に提出し、妻を世帯員から外します。その後に、妻が国民健康保険の加入手続きを取ります。

なお、離婚後に実家に戻るような場合には、夫の健康保険から外れた後に親の健康保険の扶養に入ることも考えられます。

お子さまがいる場合、 児童扶養手当や一人親家庭の医療費助成を受けることができる場合があります。この手続の際に変更後の健康保険証が必要になることがあります。

なお、子どもの健康保険については、離婚により直ちに親権者あるいは監護者の医療保険に加入するわけではなく、扶養の実態によって判断されますが、国民健康保険の場合は、住民票の世帯を基準としているため、離婚により世帯主と別居になる場合は、改めて同居する親権者の世帯員(国民健康保険)か被扶養者(健康保険)にする必要があります。

年金分割

年金は次の三層構造になっています。

  • 1階…基礎年金と呼ばれる最低給付部分
  • 2階…厚生年金ないし共済年金に共通の上積みたる報酬比例部分
  • 3階…各企業が独自に設けている上積みたる企業年金部分

この2階部分の年金について、夫婦が平等に給付を受けられるように(夫の年金を削り、妻の年金に上増する)配慮したのが年金分割制度です。

年金分割の請求(標準報酬改定の請求)は、年金事務所で行います。分割の請求は原則として、離婚成立の翌日から2年以内に行う必要があります。年金分割制度について、詳しくはこちらを参照ください。

その他の手続

運転免許証・パスポートの書き換え

身分証明書となるものですので、早めの手続をお勧めします。離婚により氏名・住所・本籍等が変わる場合には、運転免許証の書き換えが必要となります。住所地の警察署で手続をしましょう。

離婚により氏名・本籍等が変わる場合には、パスポートの変更手続きが必要となります(住所が変わるだけであれば以下の申請手続きは必要ありません)。この場合、旅券の申請窓口で、既存のパスポートを返却して、新たな発給申請(切替申請)をするか、既存のパスポートの有効期限を引き継ぎたい場合には、パスポートを一旦返却して、記載事項変更旅券の発給申請をすることになります。

運転免許証・パスポートの書き換え

金融機関やクレジットカード会社などに連絡し、住所・氏名等の変更手続を行います。

代表弁護士中原俊明
代表弁護士 中原俊明 (東京弁護士会)
  • 1954年 東京都出身
  • 1978年 中央大学法学部卒業
  • 1987年 弁護士登録(登録番号:20255)
  • 2008年 法律事務所ホームワン開所

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この弁護士のプロフィール

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