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養育費の相場はいくら?年収や子供の人数による目安はいくら?
離婚後に子供の親権者となった場合、一般的には、離婚した元配偶者から養育費を受け取ることができます。養育費は、元配偶者の収入や自分の収入、子供の年齢・人数などの事情によってケースバイケースですが、計算方法はある程度決まっているので、目安となる金額を把握しておくのは養育費について決めるうえで重要です。ここでは、養育費の相場と、目安となる金額を知る方法について説明します。
養育費の相場
最初に申し上げますが、養育費の相場、つまり「世間の人が養育費を平均でいくら払っているか」を知っても、この記事を御覧になっている方が養育費を決める際にはあまり役に立ちません。養育費は、双方の年収と子の人数などによって決まるからです。しかしながら、「養育費の相場はいくらですか?」という質問は多くいただき、そのお気持ちは分かりますし、相場を知ることで心構えができるという方もいらっしゃるでしょうから、参考として数字を挙げたいと思います。
厚生労働省の調査(令和3年度)
離婚後、母親が親権者となったケース(母子世帯)での養育費の相場(平均的な月額)は、厚生労働省の調査によると次のとおりです。この調査では、「子の人数に対する養育費の平均月額」が分かります。
子の人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 |
---|---|---|---|---|---|
月額 | 40,468 円 | 57,954 円 | 87,300 円 | 70,503 円 | 54,191 円 |
最も世帯数が多い子1人の世帯では40,468円、次いで多い子2人の世帯では57,954円、3番目に多い子3人の世帯では87,300円と、子の人数が3人の世帯で最も高額となっています。子の人数が4人以上の世帯では、子の人数が3人の世帯と比べて養育費の金額が低額になっていますが、子を養うために母親も働いて収入を得ているケースが多い等の理由が考えられます。
最高裁判所の調査(令和4年度)
母子世帯での養育費の月額別の内訳は、最高裁判所の調査によると次のとおりです。この調査では、「養育費をいくら支払っている人がどの程度いるのか」が分かります。
月額 | 1万円以下 | 2万円以下 | 4万円以下 | 6万円以下 | 8万円以下 | 10万円以下 |
---|---|---|---|---|---|---|
件数 | 1176 | 3010 | 4384 | 1360 | 412 | 145 |
養育費の具体的金額は、4万円以下が最も多く、次いで2万円以下、6万円以下が多い結果となっています。
ただし、以上の結果はあくまでも調査結果に過ぎません。そのため、単にこの表の数字だけを見て、「子の人数が3人だから8万円くらいもらえるだろう」とか、「子が二人なのに10万円は払い過ぎだ」と考えることはできません。そこで、次は養育費の金額の目安について説明します。
養育費の目安を知る方法
養育費の目安を知るには、裁判所が公開している「養育費算定表」を使用します。養育費算定表の見方は次の通りです。
1. 表を決定する
養育費算定表には、子の年齢と人数に応じて以下の9つの種類があります。
子の人数 | 表の種類 |
---|---|
1人 | 子が0〜14歳(表1) |
子が15歳以上(表2) | |
2人 | 子が両方0〜14歳(表3) |
15歳以上の子と0〜14歳の子(表4) | |
子が両方15歳以上(表5) | |
3人 | 子が全員0〜14歳(表6) |
15歳以上の子1人、0〜14歳の子2人(表7) | |
15歳以上の子2人、0〜14歳の子1人(表8) | |
子が全員15歳以上(表9) |
この中から、自分の世帯に合った表を決定します。なお、子が4人以上いる場合や、兄弟姉妹が別々に暮らす場合の算定表はありません。他にも、給与収入と自営収入の両方を得ている、他に養育費を支払っている子がいるなどの事情がある場合は、算定表にそのまま当てはめることができません。
これらの場合は、事情毎に個別に計算をする必要がありますので、弁護士にご相談ください。
2. 権利者と義務者の年収を確認する
権利者とは養育費を受け取る側であり、義務者は養育費を支払う側です。まずは権利者・義務者とも、年収の種類(会社などから給料をもらっているのか、自営業なのか)を確認しましょう。
次に金額を確認します。給料の場合、控除される前の収入がここでの「年収」となります。源泉徴収票に記載されている「支払金額」がこれに当たります。
これに対し、自営業の場合は、確定申告書の「課税される所得金額」や「所得金額合計」をそのまま使えるわけではありませんので、注意が必要です。複雑な計算になるのですが、初めて算定表を見る段階であれば、以下の簡易的な計算でよいと思います。
- 左の列の「所得金額合計」から、「社会保険料控除」の欄の金額を引きます。
- 実際には払っていないお金(例:青色確定申告であれば青色申告控除)を(1)に足します。
- この金額を自営業者の収入とします。
実際には、決算書の減価償却費用や専従者給与の取り扱いなども問題となりえます。ここでは省略していますので、計算理由や詳細が気になる方は、弁護士にご相談ください。
3. 表で権利者と義務者の年収がクロスする箇所を探す
表を見ながら、権利者と義務者の年収がクロスする箇所を探します。給与の場合は外側の数字、自営の場合は内側の数字が年収です。
表では、「0〜1万円」「1〜2万円」「2〜4万円」などの層が書かれているので、クロスする箇所がどの層にあるかを確認しましょう。その層の金額が、養育費の金額です。
さらに養育費の金額を具体的に決めるには、話し合いが可能であれば話し合いで、不可能であれば裁判所が決定します。
例えば、「2〜4万円」の層に入るケースであれば、その層の下の方であれば養育費は2万円、真ん中であれば3万円、上の方であれば4万円にする、などの決め方があります。
次のケースをもとに具体的に養育費算定表を使って、養育費を見てみましょう。
- 子は1人。年齢は6歳。
- 権利者は、年収150万円の給与所得者。
- 義務者は、年収450万円の給与所得者。
14歳以下の子が1人なので、使用する養育費算定表は表1です。
下の目盛りで権利者の給与150万円を、左の目盛りで義務者の給与450万円を探します。
これらを辿ると、4~6万円の箇所でクロスします。層の下の方なので、このケースでは、養育費は4万円くらいとみることができます。
養育費に考慮されるその他の要素
養育費算定表を使った養育費の目安は、あくまでも父母の年収と子の年齢・人数のみを考慮したものです。他にも養育費を決める際には以下の要素が考慮されることがあります。
子の教育費、医療費など
算定表は、子が公立学校に通うことを前提とした計算になっています。一般的に、私立学校の学費は公立学校の学費に比べて高額になりますので、その分を加算できる可能性があります。また、子どもに持病があり、頻繁に入通院をする必要がある場合は医療費がかさみますので、考慮される可能性があります。
両親の学歴
両親の学歴は、金額という点には関わらないですが、養育費をいつまで支払うことにするかという点に関わることがあります。例えば、両親の学歴が大学卒業である場合、子も大学を卒業する可能性が高いという理由で、養育費の支払終期が子の大学卒業までとされるケースは多くなっています。
養育費の相場はいくら?年収や子供の人数による目安はいくら? まとめ
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養育費の目安を知るにはどうすればいい?養育費の目安は、裁判所が公開している養育費算定表を使うのがおすすめです。
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自営業の場合など、複雑な計算になる場合はどうすればいい?自営業者収入を正確に出す場合や、算定表に当てはまらない場合は、計算がテクニカルになるので、離婚を専門に扱う弁護士に相談をすると安心です。
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子どもが私立学校に通っている場合はどうなる?子が私立学校に通う場合は、算定表額を上回る養育費になる可能性があります。