離婚時に確認すること-お子さんがいる方-

親権諦めずに交渉をすることが重要です

離婚の際、未成年(20歳未満)の子どもがいる場合には、子どもについて決めておかなくてはならないことがあります。離婚前に決めておく必要があるのは、主に

  • 父母のどちらが親権者となるのか。
  • 子どもを引き取らない側が負担する養育費の支払額と支払方法。
  • 離婚後の子どもの戸籍と名乗る姓。
  • 引き取らない側の親と子どもとの面会をどのように行うか。

の4点です。ここでは、(1)について解説します。

親権とは

親権には、「身上監護権」と「財産管理権」の二つがあります。「身上監護権」とは、子どもの衣食住の世話をし、教育やしつけをする権利と義務のことです。「財産管理権」とは、その名のとおり、財産を管理する能力のない未成年者の子どもに代わって法的に管理し、契約などの代理人になる権利と義務のことです。

通常は、子どもを引き取った親が親権者となり、日常的な世話、教育をします。親権と監護権が同一人に帰属します。

親権者と監護権者

もっとも、親権の取り合いで争いになった場合に、まれなケースですが、親権から身上監護権の子供の世話や教育の部分の権利と義務を分けて、親権者と監護権者に分けることで解決をはかることもあります。つまり、親権者ではない親が子どもを引き取り、監護権者として子供の日常的な世話や教育、しつけを行うことになります。この場合、財産管理権は親権者にありますので、子どもの進学などの際に、親権者と監護権者との間で協議などをする必要が出てきます。

子どもが複数いる場合の親権者

子どもが複数いる場合には、それぞれの親権者を決めなければなりません。子どもへの精神的な影響を考えると、原則として兄弟姉妹は同一の親権者であることが望ましいとされていますが、子どもの年齢や親の資力等の様々な事情によって、親権者が父母別々になることもあります。

親権者の決め方

離婚届には、未成年の子どもの親権者を記入する欄があります。協議離婚の場合は、親権者が決まっていないと離婚届が受理されず、離婚はできません。

親権の取り合いになり、話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所で調停を行います。離婚調停とともに、親権者の指定を申し立てることもできますし、親権だけの調停を求めることもできます。調停もあくまで話し合いの場なので、調停で決まらない場合には、審判で指定してもらう必要があります。裁判離婚では、家庭裁判所が離婚を認めるときに親権者も指定します。

家庭裁判所が親権者を決める基準

家庭裁判所が親権者を決めるときには、特別な事情がない限り、乳幼児であれば母親が優先されています。これは母性優先の原則と呼ばれています(ただし、以前よりは重視されなくなってきているようです。)。また、子どもの現在の生活環境を維持するため、育児の放棄などの問題がない限り、実際に子供を監護養育している親を優先します。これは、継続性の原則と呼ばれています。したがって、離婚に先駆けて別居する際は、親権を取得したい場合には、子どもを連れて出た方がよいでしょう。

子どもが二人以上いる場合には、基本的には兄弟姉妹は同一の親権者が指定されることとなります。 親権者となる親が心身ともに健康であること、子どもに接する時間が多いことも判断材料の一つです。また、もちろん、子供を監護する能力(意欲、能力、経済力など)があるかどうかも判断要素です。ただし、経済力については、養育費の支払を受けることでカバーされるため、収入が多い方が直ちに親権者となるわけではありません。

さらに、子どもが満15歳以上であれば、裁判所は子どもの意見を聞かなければならないことになっています。満15歳未満であっても、子どもの発達状況によっては子どもの意思が考慮されます。 妊娠中に離婚した場合は、母親が親権者になります。ただし、出産後に話し合いによって、親権者を父親に変更することもできます。

親権者の変更

離婚後の親権者の変更は父母の話し合いだけではできません。親権者の変更を求めるときは、家庭裁判所に親権者変更の審判または調停の申立てをしなければなりません。申立ては子どもの父母に限らず、おじ・おばなど親族でも可能ですが、子ども自身からはできません。

親権者の変更が認められるのは、親権者が病気になり子どもの世話ができなくなった場合や、子供を虐待する、子どもの養育環境が著しく変化した、など、親権者の変更が子どもにとって必要とされる理由のあるときのみです。

家庭裁判所の調査官は事実の調査を行い、親権者の変更が子どもの福祉と利益のために必要かどうかを判断します。子どもが満15歳以上の場合は子どもの意見を聞き、意見を尊重します。親権者変更が確定したら、確定した日から10日以内に市区町村役所の戸籍係に親権者変更を届け出ます。なお、親権者と監護権者を別々に決めていた場合で監護権者を変更したいというときには、当事者の話し合いだけで決めることができます。

代表弁護士中原俊明
代表弁護士 中原俊明 (東京弁護士会)
  • 1954年 東京都出身
  • 1978年 中央大学法学部卒業
  • 1987年 弁護士登録(登録番号:20255)
  • 2008年 法律事務所ホームワン開所

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