財産分与とは

財産分与とは、夫婦の協力で、それまでの生活で形成した財産を離婚時に清算、分配することです。

離婚の原因が相手にないと請求できない慰謝料と違って、自分に離婚の原因があった場合であっても請求できます。ただし、結婚中の生活のなかで資産の形成に協力していた必要があります。慰謝料と別々に請求することも、一括して請求することもできます。

財産分与をめぐって発生する問題の具体的な事例

専業主婦の財産分与

専業主婦の財産分与はどれくらいですか。

私は専業主婦です。離婚を考えているのですが、開業医をしている夫は「お前がやっているのは家事だけだろう。24時間、365日家政婦をやとっても、俺の稼ぎの1割程度だ。」「専業主婦の場合、取り分は3割くらい、と顧問弁護士も言っている」というのですが、本当ですか。

原則、半額の取り分があります。
昔は確かに「専業主婦の取り分は3割」という考え方をする裁判所もありましたが、現在は、専業主婦でも半額の取り分を認めるケースが多いです。   

へそくり

へそくりは、財産分与の対象になりますか。

私は家事を任されている中から、いざというときのためへそくりを毎月5万円を目標に貯めてきました。夫には小遣いを月8万円渡していましたが、夫は浪費家なので、一銭も残っていないと思います。このへそくりは財産分与の対象になりませんよね?

対象になります。
へそくりであっても、通常は婚姻財産となります。夫婦間で、それぞれ小遣いを決めて、使い道はお互いが自由に決めるということが明確に合意できていればともかく、こっそり貯金していた場合は、そういう合意があったとは言えないでしょう。そのため、残念ながら財産分与の対象となってしまいます。

退職金

夫の退職金は、財産分与の対象になりますか。

離婚した場合、夫は退職金をかなりもらえるはずです。私たちには子供が3人いて、全員私立高校に行かせたため、財産らしい財産は無く、夫の財産と言えばこの退職金くらいです。退職金は財産分与の対象になりますか。

勤続年数と結婚していた年数に応じて分けることになります。まだ定年になっていない場合は、退職までの年数が問題になります。
退職金は財産分与の対象になります。例えば、夫が勤続40年で退職し、そのうち夫婦でいた期間が30年だとすると、退職金の4分の3の半分、つまり退職金の8分の3があなたの取り分になります。
「あと数年で夫が定年だけれど、それまで待てない」ということであれば、定年までの年数などが問題になります。個別のケースによって裁判官の判断が分かれますが、別居から定年退職まで約6年というケースでは、「定年」退職の金額ではなく、別居時に「自己都合」で退職したと仮定した場合に支給される退職金額を基準とすべきという判断がされました。ただし、夫からすれば「まだもらっていないから払えない」わけですから、退職した時に支払うことになりました(広島高判平19・4・17)。

借金

借金も半分に分けなければなりませんか。

夫には借金があって、それも半分に分けるべきだと主張していますが、どうなんでしょうか。

借金の内容によります。
借金の内容によります。住宅ローンは、夫婦が合意の上でした借金ですし、その借金で夫婦の生活の本拠を購入したのですから、名義上は夫のローンであっても、財産分与に関してはマイナスの財産として考慮され、妻にも負担を求められます。「家の半分は私のもの、ローンは全部あなたのもの」とは言えません。教育ローンも同様です(ただし、名義人ではない妻に対して、債権者からの「請求」が直接くることはありません)。
しかし、一方が内緒で作った借金は、原則、財産分与の対象となりません。ただ夫が家にお金を入れず、そのためにやむを得ずした借金については夫も負担すべきでしょう。借金の使い道については、食費に使ったり、遊びに使ったり、というように特定できないものは、他の配偶者に負担を求めることはできないと考えられます。

離婚後の財産分与

財産分与について話し合わずに離婚しました。後から請求できますか。

すぐにでも離婚したくて、財産分与について話し合いをしないまま、離婚してしまいました。今からでも相手に財産分与を請求できますか。

離婚後2年までなら請求できます。
財産分与請求は、離婚後2年以内であればできます。

合意できなかった場合

財産分与について合意できなかった場合、どうしたらいいですか。

家庭裁判所に、調停を申し立てることになります。
財産分与の調停を家庭裁判所に申し立てることになります。

相手が約束した金額を支払わない

調停で約束した財産分与の金額を、滞納されています。

夫が財産分与として、300万円を毎月10万円ずつ分割払いすることを約束して調停が成立したのですが、夫が最初の3ヶ月払っただけで、その後全く払いません。どうすればよいでしょう。

履行勧告の申し出をしましょう。
家庭裁判所で決めた調停や審判などの取決めを守らない人に対して、それを守らせるための履行勧告という制度があります。相手方が取決めを守らないときには、家庭裁判所に対して履行勧告の申出をすると、家庭裁判所では、相手方に取決めを守るように説得したり、勧告したりします。履行勧告の手続に費用はかかりませんが、義務者が勧告に応じない場合は支払を強制することはできません。相手がどうしても支払いに応じない場合は、その調書をもとに強制執行することが可能になります。給与差押が一番効果的です。

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