有責配偶者からの離婚請求

有責配偶者とは、離婚原因(不貞行為や浮気などをした)を作った方を指します。
原則、有責配偶者の離婚請求は信義則に反するとして認められていません。

ただし、離婚請求に至るまでの状況(別居期間,未成熟子の有無等)、離婚後の影響などを総合的にみて、離婚請求が認められた判例があります。

離婚が認められたケースと理由

昭和62年9月2日付最高裁判決は、同居12年間、別居35年間の夫婦において、不貞行為を行い不貞相手との間に子供までいる夫からの離婚請求について、
①別居期間が両当事者の年齢及び同居期間の対比において相当の長期間に及ぶこと
②未成熟子が存在しないこと
③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情が認められないこと
を理由に離婚が認められました。

また、14~16年の別居でも、有責配偶者からの離婚を認めた最高裁判例があり、4子のうち1子が未成年であっても、生活費を十分支払っているという事例では、8年間の別居でも有責配偶者からの離婚を認めています。

これらは、同居期間と別居期間の対比だけではなく

  • 破たんの程度
  • 双方の有責性の度合い
  • 婚姻費用の分担状況
  • 相手方の経済状況
  • 未成年の子の存在
  • 相手方が離婚を拒絶する理由(復讐心から拒絶しているとみなされると離婚が認められやすくなる)等

を総合的に判断して離婚の成否が決められています。

そのため、総合的判断から同居6年・別居13年でも有責配偶者からの離婚請求を認めなかった下級審判決もあります。

有責配偶者からの離婚請求をめぐって発生する問題の具体的な事例

妻以外の女性と同棲中

ご質問

妻以外の女性と同棲中です。離婚できますか。

私は妻以外に好きな女性ができ、家を出てその女性と同棲し始めて3年ほど経ちます。今年、長男が小学校に上がって、妻から養育費を請求されました。実は、同棲している彼女がガン闘病中で、その治療費のため、養育費にまで手が回りません。この先何年生きられるか分からない彼女と結婚するため、妻と別れたいのですが、離婚できますか?

弁護士からの回答

自ら不貞行為をした場合、原則、相手に離婚を求めることはできません。
自ら離婚原因となるような行為を行っている人を法律上は「有責配偶者」と言い、原則として、有責配偶者からの離婚請求は認められません。特に自ら不貞行為を行い、相手方が子供を抱え、生活苦にあるのを放置しているのであれば、離婚はまず認められないでしょう。

不倫相手と暮らしている妻から離婚訴訟を起こされた

ご質問

妻が不倫相手と暮らして10年。妻側から離婚訴訟を起こされました。

妻が子供を連れて家を出て不倫相手と暮らすようになって10年になります。私も、もう妻を妻とは思っておらず、10年間連絡をとっていません。先日、その妻が離婚調停を起こしてきましたが、私は納得できず不調になりました。妻はさらに訴訟を起こしてきました。不倫したのは妻の方なのに、このようなことが許されるのでしょうか。

弁護士からの回答

婚姻が破たんしていれば、有責配偶者からの離婚請求が認められることがあります。
このケースでは、妻が有責配偶者といえますが、妻が子を育てていること、別居後10年たっていること、あなた自身妻との復縁を望んでいないことを考えると、裁判で離婚が認められる可能性が高いでしょう。
この場合、相手(妻)に慰謝料を請求することは可能です。不倫相手も当然あなたの妻であることを知っているでしょうから、不倫相手に対しても慰謝料を請求できます。
ただし、妻に対して慰謝料を請求できる場合であっても、妻から財産分与を求められる可能性があります。

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